12.Only son.....私の息子
このイラストはネオさんが描いた物を
私がトーン状に加工した物です。
夜が明けた。
まだ薄暗い中をトランクスは一人家路に向かう。
静まり返った西の都。
今なら誰にもあわないで済んだから。
今はもう誰にもあいたくないのだ。
今は。

そっと自宅にもどる。
トランクスはあっと声を漏らす。。
キッチンに明かりがもうついていた。

「トランクス。」

台所にいたブルマが気づいて声をかけた。
トランクスはドアの前で立ち止まった。
ブルマはとがめる様子はなかった。

「おかえり」

かえってそれがトランクスの心を締め付けた。

「すみません、母さん。」

トランクスは母親に深く頭をさげた。

「また北の荒地に行ってたのね。」
「そうです。
つい眠ってしまいました。」

ブルマは息子にコーヒーを勧めた。
トランクスは黙って椅子に座る。

息子の事が心配でないといえば嘘になる。
ベジータがそうだった様にいつしか息子も
あの北の山岳地帯に行くようになっていた。
かつてベジータが悟空と修行したその場所で
知ってか知らずか息子達も拳を交えていた。
そして今最後のサイヤ人の血を引くトランクスが
たった一人その地で時間をすごしている。
いったい何をしているのだろう…。

ベジータ。
連れて行かないでよ。

ブルマはつぶやく。
誇り高いサイヤ人の戦士ベジータ。
ブルマは今でもはっきり覚えている。
地球に来てからの彼は
いつもあの地で血を流していたのだ。
自分で自分を傷つけることもあったし
悟空と傷つけあっていたこともあった。
ただ強くなりたい
それだけのために。

戦闘民族としての自分の力を持て余し
超サイヤ人になれないもどかしさに自分を見失い
煮えたぎる血を抑えられなくて
いつもベジータは身体も心もずたずたに切り裂いていた。。
ブルマはベジータを愛してはいたが
とうとう彼の暴走を止めることは出来なかった。

あの日。
死を確信しながらも
彼は戦士として散っていった。
自分のプライドを守るために。

でも
本当にそれで良かったのだろうか?

プライドを守ったところで
死んでしまえば意味はないのではないか?
生きているからこそ報われることも
あるのではないだろうか?
死ぬことだけが全てだったとは
どうしても思えないのだ。

トランクス。
トランクスもそうなるのだろうか?
彼も父親のように
サイヤ人の血にいずれ支配され
破滅の道を歩むのだろうか?

ブルマは拳を握る。
もしそうならば…。
トランクスは救わなければいけない。

あんな生き方はいやだ。
ベジータのような生き方は。
トランクスは私たちの世界で生きていかなければ。
トランクスは私の血を引く地球人だ。
私が産んで育てた息子なのだ。

ブルマは黙って朝食を作る。
心の震えをださまいとしながら平然と振舞っている。
然しやはり親子である。
その気持はやはり息子に伝わる。
だからトランクスはすまなそうに無言でテーブルについている。
ブルマはその様子をぼんやり眺めている。

ああ。
ベジータならこんな反応はしなかった。

やはりトランクスは私の息子だ。
地球人なのだ。



by NEO

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