13.最終話 Pillar of light...光の柱

dosさんの加工前のイラストです。
こちら
トランクス姿のトランクス<笑>

星が降るような夜空に輝くクリスマスツリー。
トランクスは楽しい光を始めて経験した。
ただ光っている。
そんな単純なことがこうも人々を喜ばせている。

そしてトランクス自身も
自分のふさぎこんだ気持が浮かれ出し始めていることに
気づくのであった。

たくさんの子どもの笑い声が聞こえる。
いつも暗い顔をしている大人たちも
子供の声に自然と元気付けられる。
こんな夜が今まであっただろうか?
トランクスは周りを見渡した。
星降る夜空に
輝く光のツリー。
たくさんの人々の
うれしそうな顔。
トランクス自身も小さな子供に囲まれて
満面の笑顔になっていたのだ。
トランクスにしっかりつかまる
小さな手、手。

そのとき。
肩まで伸びたトランクスの髪を強く引っ張る者がいた。

「え?」

無邪気な美しい気。
トランクスが思わず振り向く。
その手は黒い髪の少女に抱かれた小さな赤ん坊であった。
まだ歩けないくらいの…。
その小さい手がトランクスの髪をしっかりつかんでいる。
頬がまん丸で
唇がとても小さく突き出ている。
その愛らしさにトランクスは思わず微笑んだ。
赤ん坊を抱いている少女の年のころは
14,5歳くらいだろうか。
目を大きく見開いておろおろしている。
赤ん坊の行動にとにかく驚いているようだった。
あわててその小さい手を
トランクスの髪からほどこうとした。
真っ黒な瞳がとても美しくぬれるように光って見えた。
長い髪は背中まであって絹のようにつややかだった。
儚げな暖かい気。

「…!」

そのときトランクスは声をあげそうになった。
この気に、心当りがあったのだ。
とても暖かくとても懐かしい気
そして彼がずっとずっと
捜し求めてきた大切な気であった。

トランクスはじっとその少女の顔を見つめた。
何度も何度もその気を確かめた。

抱かれた赤ん坊の小さい手が
しっかりとトランクスの髪を握っている。
少女がその手を解こうとしても
小さい指ははなれない。
トランクスはいいよ、というように
少女に目で語りかける。
少女はトランクスの視線に気づくと目を伏せた。
頬があかく染まっているのが夜目にも判った。
その恥じらいを秘めた表情にトランクスは確信を持った。

「ああ…」

そのとき
トランクスの目から一筋の涙が流れた。
生まれて始めて流した涙。
かなしみや
怒りや
苦痛という負の感情からではない
暖かい涙の
一滴であった。

「ごめんなさい、
弟なの。」

少女は恥ずかしそうにうつむいた。
とてもトランクスと目を合わせることが出来ないようだった。
しばらく黙り込んでいた黒髪の少女。
赤ん坊に向かって諭すように優しく語りかけた。

「ほら、ごらんなさい。
お兄ちゃん痛かったわよ。」

トランクスはしばらく言葉が出なかった。
唇が開いても上手く動かない。
しばらくの沈黙の後ようやくトランクスは言葉を発した。

「…痛くても泣かないよ。」

そのとき少女ははっと目を見ひらいた。

「え?」

少女ははじめて正面からトランクスの顔を見た。
トランクスの顔をじっとじっと見つめた。

「まさか。」

少女ははじめて正面からトランクスの顔を見た。
黒い瞳がぬれたように輝いていた。

「…お兄ちゃんなの、あのときの…」

微笑むトランクス。
少女に向かって深く頷いた。
少女は動かなかった。
ただ唇を震わせてトランクスと向かい合っていた。
そして、搾り出すように言葉を発した。

「…お兄ちゃん、生きていたのね…!」

やっとそれだけ話すと彼女は言葉をつまらせた。

「君にお礼が言いたかった。
ずっとずっとあいたかったんだよ。」
「…みんな、みんな死んじゃったと思っていたの…」

トランクスは少女の瞳をしっかり見つめて答えた。

「僕は…君に救われたんだ。」

少女の瞳から大粒の涙。
真珠の珠のように
ぽろぽろとこぼれ落ちる。

「お兄ちゃんが生きていてくれたなんて…」

そっと手を差し伸べるトランクス。
彼女は差し出されたトランクスの手を
震える指でそっと握った。


聖夜は更けていく。
少女の弟は無邪気にトランクスに手を伸ばしてきた。
どうしても抱いてほしいらしかった。

「あ…ごめんなさい。」

少女が赤ん坊の身体をトランクスから離そうとすると
赤ん坊はまたもやトランクスの髪を思いっきり引っ張った。

「わあ、すごい力だね。」
「本当にごめんなさい…」

それを黙って見ていたブルマ。
笑いながら言葉をかけた。

「思い出すなあ。
悟飯君の髪の毛もトランクスが
そうやって引っ張ったものだわ。」
「悟飯さんの髪をですか?」
「そうよ。
こんなものじゃなかったけれどね。
それでも悟飯君笑ってたなあ…。
悟飯君は本当にあなたをかわいがってくれたものね。」
「悟飯さんが…」

トランクスは赤ん坊の小さい手に触れる。
やわらかく小さい手だ。
でもその身体には生きている喜びが溢れている…。

過去の世界では自分はこの赤ん坊くらいの大きさだった。
そしてその世界には若い母さんと生きている父さんがいた。
これからもあの世界で3人は生きていくのだろう。

…でも俺の住む世界はここなんだ。

トランクスは黒い手袋を脱いだ。
赤ん坊の目の前で彼は両手をそっと広げる。

「よーく見ててご覧。」

そういうとトランクスはかすかに両手に気を集めた。
ぼうっと輝く白い手。
その光はボールのようにまとまって強く輝きだす。
トランクスが片手をあげると気のボールは
そっとトランクスの手をはなれて夜空に向かって飛んでいく。

「お兄ちゃん、これどうやってしているの?」

少女が目を丸くした。

「そうだね…」

トランクスは少女に優しく微笑みかける。

「わあ、すごいー。」

不思議な光にたくさんの子ども達が集まってくる。
輝く白い手にみんなが興味深そうによってくる。
赤ん坊も髪の毛をつかんだまま熱心に見入っている。
どの顔もどの顔もトランクスを見つめる。

「うーん…、これは…」

トランクスは笑いながら答えた。

「これはね、新しいマジックだよ。」
「すごーい!」
「手品だー!」

トランクスは次に両手を天に差し伸べると
その手のひらから次々気を発射した。
星降る夜空に届く光の柱である。
その光の柱はさまざまな色に輝き夜空を美しく照らし出す。
西の都のあちこちでどっと歓声があがった。
拍手。
歓声。
やむことがない。

「気の平和利用ね。」
「そうですね、母さん。」

しばらくの沈黙の後、ブルマは思い切ったように唇を開いた。

「ねえ、トランクス。」
「はい。」
「私はベジータやトランクスと違って
何の力もない弱い生き物なの。
あなたが一人で戦っていたときも
私は何の役にもたたなかったわ。
ごめんなさい。」

トランクスは驚いたような顔でブルマを見た。
ブルマは言葉を続けた。

「でもね。
戦いというのは
ベジータやあなたが考えていたことだけじゃないと思う。
壊された世界を
元のなんでもない普通の暮らしにもどすこと
それだってこれからの大事な戦いだわ。」
「母さん・・・」
「私はサイヤ人と暮らした女よ。
今闘うべき相手を失ったあなたがどんな気持でいるかは
私なりにわかるつもり。
でもあなたはベジータじゃない。
あなたは私の血を引く息子でもあるの。
だから
あなたの戦いはこれからも続くのよ。
私といっしょに。」
「母さん…」

トランクスは唇をかみ締めた。
そうでもしないと
泣き出してしまいそうだった。
そんな息子の肩を
ブルマはそっと優しくたたいたのであった。

この世界に平和が訪れて初めてのクリスマスイブ。
静かに静かに
夜は更けていく。
ブルマは夜空を見上げてつぶやいた。

「気弾をマジックなんていったら
ベジータ怒るだろうな。
馬鹿にするなー!とか言っちゃって。」
「でも悟飯さんなら絶対喜んでくれますよ。」

トランクスの放ち続ける光に人々が歓声をあげる。
トランクスの傍らにはブルマが、
反対側には黒髪の少女がそっと寄り添い立っていた。
イブの夜。
たくさんの心が
ひとつになった。

もう二度と戦わないよ。

悟飯さんは俺にそう言った。

はい。
戦士は俺でおしまいです。
サイヤ人の誇りを持った地球人として
俺はこれからあなたの分まで生きていきます。
俺は今から生き始めます!

「トランクス!
おっきいのをお願い!」
「はい、母さん!」

トランクスは夜空に向かって思い切り大きい気弾をはなった。

とどけ…
平和の願い!

「悟飯さん、悟飯さん 
…さようなら!」



by Neo
最後までお読みくださいましてありがとうございました。
宜しければ感想など聞かせていただくとありがたいです。
今後の励みとさせて頂きます。
ジローへの連絡はこちら

光の柱の目次に戻る

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO