ヤムチャの気持ち![]() |
| ベジータの帰りを 誰よりも待っていたのは 実は ヤムチャだったのかもしれなかった。 ベジータに聞きたいことは 山ほどあった。 ヤムチャは家路を急いでいた。 夕焼け空が広がっている。 彼ははじめて就職をしたのである。 それはあり大きな道場の指導者としてだった。 今まで何度か声をかけられていたのだが 今回はじめて首を縦に振ったのである。 就職。 ブルマと同棲してもう何年も立つのだが 実際それは初めての試みだった。 彼がなまけものだったわけではない。 幼いときに両親を失い 荒れた土地で 一人暮らしていかなければならなかった彼は 学校教育というものをほとんど受けていなかった。 腕っ節の強さが 彼にさまざまな幸運をもたらし 彼は盗賊として暮らした過去がある。 長髪で背が高く 強い。 ルックスのいい彼は ある意味ヒーローでもあった。 物は盗むが人の命は奪わない。 それが彼のポリシーだったのだ。 しかし世間の壁は厚い、と彼は感じていた。 山を降りた彼は都では ただの男になった。 学歴が真っ白状態の彼が 受けられる就職試験はまずなく いくつかのアルバイトはしてはみたが 正直使われるのには向いていない、 とも自分で感じていた。 ヤムチャは狼なのだ。 犬じゃない。 ヤムチャの胸がぎゅっと痛む。 エアカーを運転していても 本を読んでいても その気持ちは突然湧き上がる。 暗い辛い気持ちだ。 あのとき。 ブルマはついにヤムチャを迎え入れなかった。 朝日の中で抱きあう ベジータとブルマのシルエットを見たとき ヤムチャの理性はとんだ。 何度思い起こしてもそれは 抱き合っていたようにしか見えなかった。 ベジータは筋肉の流れがはっきり見える アンダースーツ姿で その太い腕はしっかりと ブルマの腰に回っていた。 そしてブルマは、というと 薄っぺらいパジャマ姿で はだしだった。 朝日の加減で 体のラインが丸見えになっており 彼女がブラジャーさえつけていないのが ヤムチャには はっきり見えた。 これをどう解釈すればいいのだ。 二人がそんな状態で どこかにいっている間 ヤムチャは一人苦しんでいたのだ。 だれもいないこの場所で。 恋人が陵辱されているという妄想と その恋人を助けにいけない 自分の弱さに。 再び死ぬことへの恐怖に おびえる自分に ヤムチャは苦しんでいたのだ。 なのに・・・・。 これはないだろう・・・・! 本心だ。 そのとき彼は もう 黙ってたっていることが できなくなった。 ガンガンと飲み続けた酒が 急に彼の頭に回り ヤムチャは腹の底の黒い欲望に 突き動かされたのだ。 腕に力が思わず入り 彼は彼女の体を乱暴に壁に押し付けた。 「やだっ! やめて!」 そんな声は 聞こえなかった。 聞いてはだめだと思った。 腕を突っ張り 両足を硬く閉ざしたブルマに ヤムチャの腕が容赦なく伸びる。 彼女に彼が触れようとしたとき ブルマはさらに激しく抵抗した。 それはいつものことなのだ。 暴れる子猫のような彼女だ。 ヤムチャを拒むのは 二人にとって遊びのようなものであり ヤムチャの思いはどんどん高まる。 それはブルマだって同じはずだ。 自分たちは何百回と 体を重ねてきたのだ。 いやだ、いやだといっていても 彼女の体は次第にほてり やわらかにほぐれていく。 ブルマの腕は 結局ヤムチャを抱くのだ。 そして 甘い息を漏らす彼女をうつぶせにし 彼女を組み伏せたヤムチャはその背中を愛し 白い両足の間に自分を割り込ませ 細い腰を思いきり引き寄せる。 それですべてが解決するはずだったのだ。 いつものように。 だけど。 ブルマは泣きつづけた。 いやだ、いやだと泣きつづけた。 いつまでもいつまでも。 なんだよ・・・。 人の女に 手を出そうとしたのは ベジータだろう。 裏切ったのは そっちじゃないか。 泣きたいのは 俺のほうだぜ。 |
2003年12月8日 じろう
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