それから何年かの月日が流れて トランクスの孤独な戦いは 終わった。
ブルマの作ったタイムマシンで 過去に行ったトランクスである。 過去で彼は父親であるベジータにあった。 夢にまで見た父親のはずだった。 あいたくてあいたくて仕方がなかった父親だった。
しかしその印象は最低最悪であった。
ベジータ。 人を寄せ付けようともせず 他人には全く関心がない。 人の話に耳を傾けることなく
自分が強くなること以外に全く興味を待たない。 何より彼が傷ついたのは 人造人間に幼い自分と母親の載った乗り物が 撃ち落されたときのことである。 黒煙をはきながら落ちていく物体。 若い母親の顔がはっきり見えた。 なのに。
ベジータは眉ひとつ動かさなかった。
その時の氷のように冷たい瞳を トランクスはどうしても忘れられなかった。
どうして母さんはこんな人と? こんな奴 人間じゃない!
正直な気持だった。 人と組むことも出来ず 勝手気ままに闘うその姿も嫌悪の対象となった。
しかしベジータとトランクスは ともに精神と時の部屋で暮らした。 その二人だけの時間が徐徐にトランクスの気持を開いた。 ベジータの寂しさが 白い世界の空気を伝わって トランクスの身体に染みとおっていく。 強い人ほど哀しいのだ…。 そしてトランクスは気づいたのだった。
やはり俺たちは親子なのだ、と。
そして迎えた決戦の日。 自分の身体を貫いたセルの攻撃。 トランクスは全くよけられなかった。 死んだ、と自分で思った。 その時のベジータの表情。 ほんの一瞬だったがトランクスはその父親の顔を見た。 それは初めてみる怒り以外の彼の表情だった。 大きく見開いた目が トランクスを、見た。 唇が振るえ ベジータは初めて感情のある声で息子の名を呼んだ。
「トランクス…」
トランクスはそのときはじめて ベジータの裸の心に触れたと思った。
孫悟空は死んでしまったけれどベジータや、 若い母親や、そしてまだ幼い悟飯に囲まれて トランクスは成長したのだった。 Z戦士たちとともに戦ってきた彼は絶対の自信を持って戻ってきた。 自分の世界に。 それはブルマの期待通りの結果であった。 一段とたくましくなったトランクスは 人造人間たちとセルを打ち倒したのである。
それですべてが終わり すべてが始まるはずであった。
然しものごとはそう簡単に終わらなかったのだ。
平和になって喜ぶ群集。 しばらくはあちこちでお祝いのイベントがあった。 勿論誰がセルたちを倒したというのは誰も知らない。 それでトランクスは満足だったのだ。 なのに。 彼の中で何かくすぶり続ける思いがあった。
それは むなしさ。 そうとしか言いようがなかった。
激しい戦いの後に突然きた空虚。
ものごころがついたときから張り詰めていた緊張の糸。 それがぷっつり切れて… トランクスは自分の立つべき場所を見失ったのだった。
これから俺は どう生きたら いい?
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